気になるのは、「そもそも、どの外壁材が長持ちするのか?」でしょうか。なかには、「現在住んでいる家の外壁を長持ちさせる方法が知りたい」と情報を探っている方もいらっしゃるでしょう。
そこで、今回のブログでは、
・長持ちする外壁材の種類ついて(1章)
・外壁を長持ちさせるために必要なメンテナンス・点検(2章)
の順で、プロが徹底解説いたします。
1.プロが教える!長持ちする外壁材の種類
様々な外壁材の種類がある中で、「そもそも、どの外壁材が長持ちするのか?」が気になっている方も多いのでは?
「メンテナンスをしない状態で、どのぐらい外壁材が持つか」をまとめたのが、下記の表になります。
※メンテナンス周期の目安が長いほど、メンテナンスをしない状態で外壁材が長く持つことを意味します。
[外壁材の種類別|メンテナンス周期の目安]
外壁材の種類 | メンテナンス周期の目安 |
---|---|
窯業系サイディング | 7~8年程 |
金属系サイディング | 10~15年程 |
木質系サイディング | 約10年 |
樹脂系サイディング | 10~20年程 |
モルタル | 8~10年程 |
ALCボード | 10~15年程 |
タイル | 約20年 |
※上記はあくまで「目安」になります。住まいの環境や各外壁材製品などによっては上記メンテナンス周期と大きく異なることもあります。各外壁材製品のメンテナンス周期については、HPやパンフレット等でご確認ください。
メンテナンスをせずに最も長く持つのは、タイルです。タイルは経年による劣化や変質が起こりにくく、メンテナンスの手間があまりかからない外壁材と言われています。次いで、長持ちするのは樹脂系サイディング、金属系サイディングやALCボード…と続きます。
一つ、誤解のないようにお伝えしておきたいのは、定期的メンテナンスをすれば、どの外壁材を選んでも、上記のメンテナンス周期以上の年数、外壁材は長持ちするということ。
とすると気になるのは、「メンテナンスをしたうえで、長持ちする外壁材はどれか…?」かもしれません。しかしながら、メンテナンスをしたうえで、どのぐらいの耐久性を保持できるかは、メンテナンスの頻度や内容、住まいの環境等の要因も大きく影響するため、残念ながら外壁材の種類だけで判断するのは難しいです。
そこで「家の外壁を少しでも長持ちさせたい…」という場合は、上記の「外壁材別のメンテナンス周期の目安」や「各外壁材製品の耐久性等」を踏まえて外壁材を選ぶとともに、定期的なメンテナンスをすることを考えるのが賢明です。
※メンテナンスについて詳しくは、2章を参照ください。
2.外壁を長持ちさせるために!押さえておきたいメンテナンス&点検のこと
外壁材の種類にかかわらず、外壁を少しでも長持ちさせるためには、メンテナンス&点検をする必要があります。
[外壁を長持ちさせるために必要なメンテナンス&点検]
・掃除(2-1)
・定期点検(2-2)
・シーリング補修(2-3)
・塗り替え(2-4)
※詳しくは、下記の各章を参照ください。
2-1.外壁の劣化進行を抑える効果もある「掃除」
外壁を長持ちさせるのに、定期的な掃除が有効です。
「掃除…?」と意外に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、掃除を“する”のと、“しない”のでは外壁の持ちが変わってくるのです。
そもそも多くの外壁には「塗装」が施してあり、塗装が防汚性、遮熱性、防水性、防カビ性(備わっている性能は外壁によって異なります)などの性能を発揮することで、劣化の進行を抑えています。しかしながら、外壁が汚れる=塗装が汚れると、十分にその性能を発揮できなくなるため、劣化が加速度的に進行してしまうのです。
そこで、有効となるのが掃除です。定期的に掃除をして塗装の汚れを落とせば、塗装がその性能を発揮できる期間が長くなるため、それだけ劣化の進行が抑えられ、外壁は長持ちします。
また、定期的な外壁の掃除には、
・汚れがこびりつく前に簡単に落とせる
・見た目にもキレイな外壁の状態を長く保つことができる
といったメリットもあります。
ちなみに、お住まいの外壁汚れは自身で掃除することも可能です。外壁を傷つけないように、洗車用などの柔らかいモップやブラシを使って掃除をする事をオススメします。近年、家庭用の高圧洗浄機等も手に取りやすい価格で販売されているので、そういった機械を使ってもよいでしょう。
ただし、高所にのぼっての作業が必要な場合は、危険です。プロへ依頼しましょう。
※はしごなどを使って作業をするのは大変危険なので、絶対にやめてください。
プロに依頼した場合の費用相場は下記の通りです。
掃除(高圧洗浄)費用の目安 | 100~300円/㎡ |
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※足場を組む必要のある場合は、別途、足場費用がかかります。
2-2.外壁を長持ちさせたいなら「定期点検」は受けた方がいい
外壁を長持ちさせるためには、外壁の状態を定期的にプロに診てもらう「定期点検」を受けることも重要です。「わざわざ診てもらうなんて面倒…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、受けられる定期点検があれば、必ず受けましょう。
なぜならば、外壁に何等かの劣化や不具合があっても、自身では気づくのが難しいためです。自身では重大な不具合に気づかず、放置してしまうと、場合によっては、本来は持ったはずの期間すら持たず、早々に外壁を取り換えなければならなくなってしまうことも(2-5)。
“本来は持ったはずの期間すら持たなかった…”といった事態にならないように、定期点検は積極的に受けるのが賢明です。
新築の場合、ハウスメーカーなどが定期点検を実施してくれるケースが多いようです。もしくは、塗装工事等をしたことがあれば、多くの塗装業者が定期点検を実施してくれるはずです。
上記、どちらにも該当しない場合は、新たに塗装業者等に「外壁の診断」を依頼するという手もあります。新たに塗装業者等に診断を依頼した場合も、定期点検と同じように、プロが外壁の状態を診てくれます。診断だけなら無料で対応してくれる業者も少なくありません。一度見てもらいましょう。
2-3.外壁を長持ちさせるために「シーリング補修」は必須
外壁を長持ちさせるためには、外壁材と外壁材の間、サッシと窓ガラスの間などに使用されるシーリング(コーキング)の補修は必須です。
※樹脂系サイディング、モルタルの外壁の場合、シーリングを使用していないため、シーリングの補修は不要です。
シーリングは外壁材よりも早々に劣化が進行します。シーリングが劣化すると、劣化箇所から雨水が入り込み、外壁材の木部が腐食してしまうことがあります。また、劣化したシーリング箇所から浸入した雨水は、住まい内部に浸入してしまう可能性も。
こうした事態を引き起こさないためには、シーリングに下記のような劣化症状がみられる場合に、早々に補修を検討することが重要です。
■補修が必要なシーリングの劣化症状
シーリング補修は、約5~10年周期が目安です。
劣化の症状 |
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プロに依頼した場合の費用相場は下記の通りです。
シーリングの打ち替え | 900~1,500円/m |
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※足場を組む必要のある場合は、別途、足場費用がかかります。
2-4.定期的に「塗り替え」をすれば外壁は長持ちする
外壁を長持ちさせるために、定期的な「塗り替え」は絶対に必要です。
外壁は時間の経過とともに、さまざまな劣化症状がみられるようになります。この劣化症状を放置すると、外壁材が早々にダメになってしまうだけでなく、場合によっては、住まいの躯体まで劣化してしまうことも(3章)。
そのため、外壁に劣化症状がみられるようになったら、早めに塗り替えを検討しましょう。外壁材を補修し、塗り替えをすることで、外壁材を長持ちさせることができます。
具体的には、下記のような劣化症状がみられるようになったら塗り替え時期です。
[塗り替えが必要な劣化の症状]
劣化の症状 | |
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2-5.【補足】外壁の劣化が進んでいる場合は「重ね張り」「張り替え」を検討すべし
外壁の劣化が進行してしまっている場合、既存の外壁をメンテナンスによって長持ちさせることは、もはや不可能です。そのため、「重ね張り」もしくは「張り替え」を選択することになります。
具体的には、
・雨水が外壁材の中に浸入してしまっている
・外壁に欠損や反り、割れなどが所々にある
・外壁材の使用年数が30年以上
などの場合、重ね張りもしくは張り替えを行ないます。
■重ね張り
既存の外壁の上に、新しい外壁材を施工する工法
■張り替え
既存の外壁を取り除き、新しい外壁材を施工する工法
プロに依頼した場合の費用相場は下記の通りです。
重ね張り | 150万円~ |
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張り替え | 200万円~ |
3.家の寿命を延ばす!?外壁の点検&メンテナンスの重要性
2章にて、外壁を長持ちさせるためには点検・メンテナンスが必要であることをお伝えしてまいりましたが、外壁の点検・メンテナンスは、外壁だけでなく、住まいを長持ちさせることにもつながります。
仮に外壁の点検・メンテナンスをしなければ、外壁の劣化は進み続け、いずれは住まい内部に雨水の浸入を許すようになります。そうなると、住まい内部に入り込んだ雨水によって躯体が腐食するようになります。すると住まいはあっという間に寿命を迎えてしまうでしょう。
住まいの躯体を守るためには、外壁の点検・メンテナンスをすることも重要なのです。
まとめ
「家の外壁を少しでも長持ちさせたい」と思っている方に向けて、長持ちする外壁材の種類(1章)、外壁を長持ちさせるために必要なメンテナンス・点検(2章)について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
「家の外壁を少しでも長持ちさせたい…」という場合は、「外壁材別のメンテナンス周期の目安」や「各外壁材製品の耐久性等」を踏まえて外壁材を選ぶとともに、定期的な点検・メンテナンスを受けることをオススメいたします。