押さえておきたいのは、同じ”黒色”でも、住まいのカタチや外壁材の素材によって、印象が変わってくるということです。
また、黒一色にするのか、他の色と組み合わせて黒色をきかせるのかによっても、住まいの印象は大きく変わります。
そこで、まずは、どんな住まいにしたいのかイメージを膨らませるところからはじめるのがオススメです。
この記事では、イメージを膨らませるのに役立つ、外壁に黒色を取り入れた住まいの施工事例をご紹介してまいります。また、あわせて黒と相性の良い色の組み合わせ、押さえておくべき留意点等もお伝えしてまいります。「外壁に黒色を取り入れたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
1.施工事例20選!まずは理想の住まいをイメージするところから
外観のイメージといえば、“色”という印象がありますが、実はそれだけではありません。塗料の色見本帳を見ると好みの色に思えても、実際に塗装してみると思っていた色と違うと感じてしまうことも。また、先述の通り、同じ黒色の外壁でも、住まいの形や素材によって外観のイメージは大きく変わります。
そこで、まずは施工事例をチェックして、外壁に黒色を取り入れた理想の住まいをイメージするところからはじめるのがオススメです。イメージが具体的になればなるほど、業者にも「◎◎のようにしたい」ということが明確に伝えられるようになるため、より理想の住まいの実現に近づくはずです。
■黒色×外壁|施工事例
[補足情報|知っておきたい『黒色』のイメージ]
黒という色には、「クール」「都会的」「オシャレ」「格調高い」「大人っぽい」「重厚感」といったイメージがあると言われています。
また最近では、ずいぶん黒い外壁の家も増えてきましたが、まだまだ少数派ではあるため、色のイメージにプラスして「個性的」「目新しい」「オリジナリティがある」など、人とはひと味違うオシャレな印象も演出できます。
2.黒色をどう引き立てるかは、配色で決まる
「外壁を黒にしたい」と考えている方の多くが、屋根から付帯部まで全部真っ黒にしたいというわけではなく、アクセント的に他の色を組み合わせて、よりオシャレに演出したいと考えていらっしゃるのではないでしょうか。そこで、ここでは黒以外の色の選び方や、塗り分け方などをご紹介します。
2-1.黒と相性の良い色の選び方
色を選ぶ際には、「ベースカラー(基本)」「アソートカラー(調和)」「アクセントカラー(変化)」という3つに分けて考えるのがオススメです。まずは表現したいイメージの中心となるベースカラーを決め、アソートカラー、アクセントカラーの配色イメージを考えていきます。
外壁を黒にする場合、ベースカラーを黒として、アソートカラー、アクセントカラーを考えていくのが基本です。あえて黒をベースカラーにせず、アソートカラーやアクセントカラーにもっていくことで、また違ったオシャレ感も演出できます。
ベースカラー | アソートカラー | アクセントカラー |
---|---|---|
外壁全体の70%程度を占める、配色の中心となる色。イメージを大きく左右する。 | 外壁全体の25%程度を占める、ベースカラーの次に大きく主役に近いイメージの色。ベースカラーとアクセントカラーの間をとりもち、安定させる役割がある。 | 外壁全体の5パーセント程度を占める色。個性的な印象を付加したり、全体を引き締めたりする効果がある。 |
黒は無彩色(彩度ゼロ)であるため、基本的に、どんな色とも合います。
相性の良い色
黒×茶色orベージュ → コアンティーク調の風合いに。
近代的なオシャレな組み合わせ
黒×白 → コントラストが強調されるため、インパクトのあるクールな印象に。
2-2.どこを黒にするかで印象は大きく変わる
色の組み合わせと併せて考えたいのが、色の配置です。同じ色の組み合わせであっても、塗る場所によって全く印象の異なる仕上りになります。
外壁の上下・左右で色を分ける
上下で分ける場合、上部を黒にすると個性的なイメージに、下部を黒にすると落ち着いたイメージが演出できます。また左右に塗り分けると、スタイリッシュな雰囲気に。
部分的に色を変える
でっぱりの部分だけ色を変えたり、ワンポイントで色を変えたりする方法などがあります。建物の形状にこだわりがある場合には、デザイン性が強調されるため、さらにオシャレな印象になります。
付帯部の色を変える
雨樋や雨戸、軒天、破風板など、付帯部と呼ばれる部分の色も、家の印象に大きく影響します。外壁の黒に近い色にするか、アクセントカラーとして異なる印象の色にするかで、全体の印象は全く違うものに。
3.押さえておくべき黒い外壁の留意点
3-1.室内温度が上昇する?!
おそらく多くの方が洋服などで体感されているかと思いますが、白などの薄い色と比べると、黒は太陽熱を吸収しやすいという性質があります。そのため「外壁を黒にすると、室内が暑くなるのでは?」と危惧されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際のところは、断熱材がしっかり施工されていれば、外壁に黒を選んでも白を選んでも、体感できるほどの差はない場合がほとんどです。
ただし、もともと薄い色の外壁で、かつ断熱材が脆弱な場合には、黒い外壁にすることで室内温度の上昇が気になることもあります。
そして室内温度以上に、色の違いによる温度変化があるのが、外壁です。夏場の暑い時期には、黒い外壁と白い外壁では、15~20℃もの温度差が出るとも言われています。熱をもった黒い外壁は、少なくとも45℃ぐらいまで(日当たりによっても変わります)上がりますので、小さいお子様がいらっしゃる場合には、触ってやけどしないよう注意してください。
3-2.劣化スピードが速い
3-1で、黒は白などの薄い色に比べると熱を吸収しやすいという性質についてお伝えいたしましたが、熱を吸収しやすいということは、紫外線も吸収しやすいということです。この紫外線、実は塗料を劣化させる最大の要因と言われています。つまり黒色は紫外線を吸収しやすい分だけ、劣化スピードが速くなる傾向があります。
外壁を黒色にする場合には、少しメンテナンス時期が早まる可能性もあることを想定しておきましょう。
3-3.周囲との調和にも配慮が必要
外壁を黒にしたいと思ったときに、気をつけておきたいのが周囲との調和です。
外壁は建物の持ち主のものであると同時に、街の景観の一部でもあります。そのため、一つの建物として見るとオシャレで都会的な黒い外壁でも、街の景観の一部として見ると違和感のある場合もあります。違和感が生じている際には、黒の面積を少なくするなどして、街並みを崩さない配慮は必要です。また地域によっては「景観ガイドライン」が定められており、建物の色彩に規制がある場合もあるので、塗り替えの前に確認をするようにしましょう。
そして意外と盲点になりがちなのが「近隣の方がどう思うか」という点です。よくあるのが「黒い外壁」にあまり良いイメージをもっていなかった近隣の方と、黒い外壁に塗装した後、トラブルに発展するケース。隣近所との距離が近い場合には、事前に黒い外壁にしたいと思っている旨を伝えておくことをオススメいたします。
4.まとめ
一言で「黒い外壁」といっても、屋根や付帯部との色の組み合わせ、家の形、壁の素材などによって印象は大きく変わります。まずは様々な施工事例をチェックして、どんな仕上りにしたいかイメージを膨らませてみましょう。
納得のいく仕上りにするためには、より具体的にイメージしておくことが重要です。