この記事では、「外壁塗装の流れ」を全10ステップの工程に分けてプロが徹底解説いたします。ぜひ、参考にしてください。
1.外壁塗装の流れ|全10ステップの工程を徹底解説!
外壁塗装の流れは、下記の通りです。この章では、外壁塗装の流れを全10ステップの工程に分けて解説いたします。
【外壁塗装の流れ】
▼ステップ①|近隣挨拶(1-1)
▼ステップ②|現場確認(1-2)
▼ステップ③|足場の設置(1-3)
▼ステップ④|高圧洗浄(1-4)
▼ステップ⑤|下地処理(1-5)
▼ステップ⑥|養生(1-6)
▼ステップ⑦|外壁塗装・下塗り(1-7)
▼ステップ⑧|外壁塗装・中塗り&上塗り(1-8)
▼ステップ⑨|完了検査(1-9)
▼ステップ⑩|足場の解体&完成(1-10)
▼[補足]定期点検
1-1.▼ステップ①|近隣挨拶
外壁塗装のファーストステップは、近隣への挨拶です。工事がはじまる前に近隣のお宅を訪問し、外壁塗装をすること、工事期間などを伝えます。
塗装工事がはじまると、連日、塗装業者等が出入りすることになるため、騒々しさを感じてしまう近隣の方もいるでしょう。また、塗料の臭いが近隣まで及んでしまう可能性もあります。こうしたことが原因で近隣の方々とトラブルを引き起こさないためにも、事前に説明をして、ご理解をいただいておくことが重要です。
塗装業者の多くが近隣挨拶をしてくれますが、近隣の方の心証を考えれば、塗装業者に任せきりにするのではなく、できれば(施主も)塗装業者といっしょに挨拶にまわるのがオススメです。もしくは、塗装業者とは別に、自身で挨拶にまわってもよいでしょう。
1-2.▼ステップ②|現場確認
塗装工事がはじまる前に、現場確認が行なわれます。この時、足場設置や塗装作業の障害になりそうなモノはすべて動かすことになります。業者が勝手にモノを動かすと、後々トラブルになってしまう可能性があるため、基本的に(施主にも)立ち会いが求められます。
「大事に扱ってほしいモノ」「塗料等で絶対に汚されたくない植栽」などがあれば、この時、しっかり伝えておくと安心です。
1-3.▼ステップ③|足場の設置
外壁の上辺りや屋根の塗装は高所作業となるため、基本的に住まいの周りに足場を設置します。
足場の組み立て時には大きな音がすることもあります。気になりそうな場合は、どの程度の音がするのか、いつ音がするのか(時間帯)などを事前に確認しておくのがよいでしょう。
ちなみに、足場の組み立てには国家資格が必要なため、塗装業者が協力業者に委託する場合が少なくありません。そのため、足場の設置時には、塗装業者だけでなく、足場業者も現場を出入りすることになります。
1-4.▼ステップ④|高圧洗浄
足場がたったら、高圧洗浄機を使っての洗浄が行なわれます。
高圧洗浄をするのは、塗装する面に付着した埃や汚れ、苔、剥がれかけた塗膜(塗料の膜)などを取り除くためです。汚れなどが残っていると、仕上がり(見た目)に影響するだけでなく、上から塗装した塗料がはがれしまうこともあるので、洗浄は丁寧に時間をかけて行なわれます。
1-5.▼ステップ⑤|下地処理
洗浄の次は、下地処理が行なわれます。下地処理とは、ひび割れや錆(さび)などの劣化部分を補修することです。
この下地処理、非常に重要な工程と言われています。なぜならば、下地処理が十分にできていない場合、上から塗料を塗装しても、キレイには仕上らず、場合によっては再び早々に劣化症状が表れてしまうこともあるからです。
そのため、劣化箇所が多い場合などは、下地処理に時間をかけるために、スケジュールが後ろに倒れることもあります。
1-6.▼ステップ⑥|養生
塗装をする前に行なわれる、養生。養生とは、塗料や汚れなどが付着しないように塗装しない面を養生シートなどで覆う工程のことです。窓ガラスや床、植栽、玄関まわりなど、汚れや塗料が付着しそうな箇所はすべて養生シートなどで覆われることになります。
養生シートで窓ガラスを覆ってしまうと、外壁塗装中は窓が開けられなくなります。そのため、外壁塗装中も開けたい窓がある(換気がしたい)場合には、その旨を養生前に塗装業者に伝えておきましょう。事前に伝えておけば、窓が開けられる方法で養生をしてもらえます。
※窓が開けられるように養生をしていても、工程によっては、窓が開けられないこともあります。窓が開けられるタイミングについて詳しくは3-1を参照ください。
また、外壁塗装中もエアコンを使いたいという場合も、養生前に塗装業者に伝えておくのが良いでしょう。なぜならば、室外機を他の箇所と同様に養生シートで覆い吸排気をふさいでしまうと、エアコンを使用ができなくなるためです。外壁塗装中もエアコンを使用するためには、メッシュカバータイプの養生シートを利用するか、シートに穴をあけるかしておくなどして、室外機の吸排気をふさがないように養生をしてもらう必要があります。
1-7.▼ステップ⑦|外壁塗装・下塗り
いよいよ塗装の工程です。
塗装は、下塗り・中塗り・上塗りの順で、塗料を塗り重ねていきます。ちなみに、使用する塗布量(塗料の量)は各製品によって決まっています。勘違いされている方も多いのですが、塗料をなんとなく適当に厚く塗り重ねているわけではありません。
下地と、仕上げの中塗り・上塗りを密着させるために塗るのが下塗りです。下塗りも中塗り・上塗りと同様に、均一な厚みになるよう丁寧に塗装が進められます。
1-8.▼ステップ⑧|外壁塗装・中塗り&上塗り
中塗り・上塗りは仕上げの工程となります。
下塗りが終わった後、一定の乾燥時間を置いてから、中塗りの塗装が行なわれます。乾燥時間を置かずに、下塗りが乾かないまま中塗りを塗装してしまうと、施工不良につながる恐れがあるため、下塗りが終わった後に必ず乾燥時間を設けられています。中塗りが終わった後も、一定の乾燥時間を置いてから、上塗りの塗装が行なわれます。ちなみに乾燥時間は、塗料ごとに塗料メーカーによって規定されています。
仕上げの工程となるため、見た目にも美しい塗装が施されていきます。
1-9.▼ステップ⑨|完了検査
すべての塗装工事が完了した後、完了検査を行ないます。完了検査とは、いわば最終チェックです。仕上がりの状態はもちろん、塗り残しがないか、周囲に塗料が飛び散っていないかなどを、細かく確認します。
この完了検査には、施主にも立ち会いが求められます。塗装業者と一緒に最終の状態をチェックして、気になることがあれば完了検査時に伝えましょう。検査後、必要な手直し等があれば、すぐに対応してもらえます。
仮に完了検査時には立ち会わず、引き渡してしまった後になって気になる箇所を指摘しても、完了検査後には足場を解体してしまうため、対応までに時間がかかったり、場合によっては足場がないために対応が難しかったりすることもあります。そのため、完了検査には立ち会うことを強くオススメいたします。
1-10.▼ステップ⑩|足場の解体&完成
完了検査が(場合によっては、+αの手直しも)終わったら、足場が解体されます。
足場の解体時にも大きな音がすることがあります。気になりそうな場合は、足場の組み立て時と同じく、どの程度の音がするのか、いつ音がするのか(時間帯)などを事前に確認しておくのがよいでしょう。
足場を解体した後、塗装業者が道具等を片付けて、塗装工事はすべて完了となります。
工事後、保証書等が発行される場合は、忘れずに受け取りましょう。
1-11.▼[補足]定期点検
塗装工事から数年後、定期点検を行なう塗装業者は少なくありません。
「塗装箇所はキレイだし、必要ない」「面倒…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ定期点検は受けましょう。
仮に施工不良が起こっていた場合、定期点検で見つけてもらえれば、無料で補修してもらえます。また、塗装後しばらく経っている場合は、目に見えないところで劣化が進行しているかもしれません。劣化は早々に補修すれば、甚大な劣化症状の発生を防ぐことができるだけでなく、補修にかかる費用も抑えることができます。
1-12.[参考]工事スケジュールは「工事工程表」で確認できる
「具体的に、いつ・どの工程の工事をするのか知りたい」という方もいらっしゃるでしょう。塗装業者に口頭で聞いて工事のスケジュールを確認するという方法もありますが、工事がはじまる前に「工事工程表」をもらっておくのもオススメです。
工事工程表とは、外壁塗装の工事をするにあたり、塗装業者が作成するいわば工事のスケジュール表。いつ・どの工事をするのかが具体的に記載されています。
頭に入れておきたいのは、塗装工事は天候に大きく左右されるため、予定よりもスケジュールが後ろ倒しになるなど、工事工程表通りに進まないこともあるということです。
大幅にスケジュールがズレ込んだ場合、多くの塗装業者が工事工程表を修正します。そこで、工事工程表を修正した場合には、修正版の工事工程表ももらえるようにお願いしておくとよいでしょう。
2.外壁塗装にはどのぐらいの期間がかかる?
この章では、外壁塗装にどのぐらいの期間がかかるのかについて解説いたします。
2-1.戸建て・アパート|外壁塗装にかかる期間
外壁塗装にかかる期間(日数)はズバリ、下記の通りです。
【外壁塗装にかかる期間(日数)】
・戸建て/10~14日
・アパート/2~3週間 ※6戸程度の大きさの場合
※ただし、上記の期間はあくまで目安です。外壁の広さや外壁材の劣化状況、天候など、さまざまな要因によって、上記よりも長く外壁塗装の期間がかかることも珍しくありません。
[戸建て|外壁塗装の流れ]
外壁塗装の流れ | 各工事工程にかかる期間(目安) |
---|---|
▼ステップ①|近隣挨拶(1-1) | 1日 ※1~2時間ほど |
▼ステップ②|現場確認(1-2) | 1日 ※1時間ほど |
▼ステップ③|足場の設置(1-3) | 1日 |
▼ステップ④|高圧洗浄(1-4) | 1日 |
▼ステップ⑤|下地処理(1-5) | 1日 |
▼ステップ⑥|養生(1-6) | 1日 |
▼ステップ⑦|外壁塗装・下塗り(1-7) | 2~3日 |
▼ステップ⑧|外壁塗装・中塗り&上塗り(1-8) | |
▼ステップ⑨|完了検査(1-9) | 1日 ※1時間ほど |
▼ステップ⑩|足場の解体&完成(1-10) | 1日 |
※上記の各工事工程にかかる期間(日数)はあくまで、目安です。外壁の状態等によっては、一部の作業が翌日にずれ込むなど、多少の差異が生じることもあります(詳細は2-2を参照)。
2-2.外壁塗装の期間を大幅に短縮することはできない
もしかすると「外壁塗装の期間がもう少し短くならないのだろうか…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、外壁塗装の期間を大幅に短縮することはできません。
なぜならば、1章でご紹介した通り、外壁塗装には様々な工事工程があり、それぞれの工事工程に一定の期間(時間)がかかるためです。
どんなに急いで作業をしても、上げられるスピードには限界があります。無理にスピードを上げれば、作業が雑になるなどして、仕上がりに影響するかもしれません。また、どんなに作業スピードを上げても、次々と工程を進められるわけではないのです。洗浄後は水が乾くのを待つ必要がありますし、1-8でご紹介した通り、塗装時にも塗料が乾燥するまで待つ必要があります。そのため、たとえば、「その日のうちに下塗りから中塗り、上塗りまで一気に仕上げる」といったことは、できないのです。
外壁塗装は基本的に2-1でご紹介した期間はかかると考えて間違いありません。雨天などで塗装工事が中止となり、塗装にかかる期間が延長することはあっても、大幅に短縮するというのは、まず無理です。
3.[参考]事前に押さえておきたい!外壁塗装中の生活について
外壁塗装中は、普段の生活に多少の制限が生じます。この章では、事前に押さえておきたい外壁塗装中の生活についてご紹介いたします。
3-1.基本的に洗濯物は外に干せない
外壁塗装がはじまってからは、具体的には足場を建てた後(1-3以降)は、洗濯物を外に干すことはできません。庭はもちろん、ベランダに干すのもNGです。外に干せない理由は2つ。1つは、洗濯物に汚れや塗料などが付着する恐れがあるため。そして、もう1つは、作業の邪魔になるためです。
そこで、工事がはじまる前に、塗装工事中の洗濯物をどうするか、部屋干しをする、コインランドリーを利用するなど、対応策を考えておくのがオススメです。
「どうしても、外に干したい」という場合は、塗装業者に相談してみるのは、ありです。工事工程や工事箇所、住まいの形状などによっては、一定の期間、外に干せるチャンスがあるかもしれません。
3-2.好きな時に窓が開けられる(換気ができる)わけではない
窓が開けられるように養生をしておけば(1-6参照)、外壁塗装中でも窓を開けることができます。ただし、いつでも開けられるわけではなく、工事工程によっては開けられないこともあります。目安としては、外壁塗装中の1/3は窓が開けられないイメージです。
具体的には、「足場の設置(1-3)」「高圧洗浄(1-4)」「養生(1-6)」「塗装(1-7&1-8)」の工程時には、窓を開けることができません。その他の工程でも、作業箇所などによっては窓が開けられないこともあります。無理に開けると、作業に支障が生じたり、部屋の中が汚れてしまったりすることもあるので、窓を開けたい時には、塗装業者に確認をしてから開けるのがよいでしょう。
3-3.留守にできないタイミングは2回だけ
基本的に外壁塗装中、家に居る必要はありません。外壁塗装は家の「外」の工事のため、留守にしていても問題なく塗装工事は進行します。
ただし、「現場確認(1-2)」「完了検査(1-9)」には立ち会いが求められるため、家に居る必要があります。
場合によっては、上記以外にも立ち会いが求められることもありますが、基本的には上記以外は留守にしていても問題ありません。
まとめ
外壁塗装の流れを全10ステップの工程に分けて解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
外壁塗装の流れを詳細に頭に入れておく必要はありませんが、どんな流れで進むのかがわかっていると、安心して塗装工事が見守れるはずです。いつ・どの工程の工事をするのかも把握しておきたいという場合は、工事工程表を入手しておくのがオススメです(1-12)。
さらに、この記事では、外壁塗装にかかる期間や外壁塗装中の生活について押さえておきたいことなどもお伝えしておりますので、ぜひ参考にしてください。